初めての東京でのそれも寮での朝食は朝6時半からOKと聞いていたので食堂へ。寮生は誰もいません。寮母さん一人
「おはようございます」
「早いね こんな時間にはみんな食べに来ないよ」
「高校の時はこの時間には電車に乗ってましたから」
「そう じゃその調子でがんばって。大学の授業の時間割が決まったら私に出して」
「えっ」
「当り前でしょ。授業は毎日行くもの。あんた勉強するために大学に入ったんでしょ。会社にも報告するしね」
「え~」(こりゃ大変な寮なのか?少し心配です)
朝食はご飯(お代わり自由)ハムと目玉焼き キャベツ少々 それと納豆と味噌汁。いまでこそ納豆は当たり前に食べるけどその時が初体験。その納豆が大きなどんぶりに山盛り入っている。しかもすでに混ぜてある。
(? これ何? ねばねばしているような、くさってない?ちょっと匂いもきついし・・・)
「梅田さん」(寮母さんの名前)思い切って聞いてみる。
「これは何ですか?」
「えっ納豆食べたことないの?」
そのころの僕は納豆なんて見たこともないし、もちろん食べたことももない。我が家でも出されたことがない。納豆は甘いもの。甘納豆しかしらない
「好きなだけ取ってご飯の上にかけて食べて」
「生卵も出すことがあるけど食べないときは冷蔵庫に入れておいてもいいよ。ただし名前を書いていれといて。時々無くなるから」
「冷蔵庫に入れておいてもなくなるんですか」
「持ち主の分からないものはみんなのものだから」
「わかった?名前の書いていないものはみんなのもの。理解しといて」
「それからね 夜の9時までに帰ってこなかったら残ってる夕食は誰が食べてもいいことになってるからね」
それからの僕は朝はみんなよりちょっとだけ早く起きて食堂へ。まず最初にご飯と納豆で 次にハムと卵で そして最後に味噌汁と と都合3回ご飯をお代わりして部屋に戻るよう心掛け、夕食は可能な限り9時までには帰るという努力を4年間続けました。
まあ寮費が400円 水道光熱費込 食事は朝と夜があって日曜日はないけど1か月食べても1万円前後。当時 東京にでてきた学生が部屋を借りて自炊をして1か月5万から6万位かかっていたから本当に恵まれた生活でした。食堂にいけばテレビが見れる。洗濯機はある。風呂も4~5人が入れる大きな風呂が夕方には沸いている。毎日きれいなお湯。本当にありがたい生活が送れる状況であったのは確かです。但しそれと寮生活は全く別物。個性豊かな先輩たちに囲まれた生活は大きな刺激と興奮とが錯綜する生活でした。