歓迎会が始まりました。新しく入寮したのは私だけ。寮生全員がそろいまた。当然と言えば当然。ただで酒が飲める。それだけの理由ですが。

大学はばらばら。当然学部も工学部 法学部 経済学部 文学部 商学部といろいろ。みんな一癖も二癖もありそうな先輩たちです。寮母さんがつくった料理がならび、ガスコンロには大きなやかんがかかっています。寮長がどこからか一升瓶を持ってきてそのやかんに。そしてコンロの火とつけ、燗酒に。ビールで乾杯した後、自己紹介も終了し、まずはおなかを満たします。そうこうしているうちに僕にコーヒーとか揃えておくようにと言った藤本さんがテーブルにグラスを19個並べました。

 

 

「やるんですか?今年はやめましょうよ。かわいそうでしょ」

「けんちゃん 伝統は引き継いでこそ伝統。この寮に伝わる伝統を自分たちの代で終わらせるわけにはいかん。そうでしょ。寮長!」

「まあね。死ぬようなことはないし」物騒なことを言いながら寮長の武中さんはにこにこしている・

けんちゃんこと前田さんがビールをすべてのコップに注ぎ終わりました。

「それでは恒例のビール早飲み歓迎会をはじめようか。新入生を代表して斉藤君 まあ一人だから代表も何もないか。先輩の代表はくじね。あみだくじ作るから」

黒板にあみだくじを書いてみんなが名前をいれ 運よくというか運悪くあたったのは4年生の松下さん。

「え~っ」と松下さん。

「ルールは簡単だから。両はしからよーいどんで飲んで10個目のコップとったら勝ち。勝つとご褒美に今沸かしているお酒をコップ1杯プレゼント。負けるとどんぶりで1杯ね。まあ勝っても負けてもおいしい日本酒が飲めるということは一緒だから。」

「じゃ はじめるよ 位置についた?よーいどん」

ビールグラスに手をかけ10杯目をとったのは僕でした。

(お~っ すごいね。やるね~ じゃあもう1回行こうか。先輩が負けるなんて恥ずかしいよ。じゃあみだもう1回ね)というところまでは確実に覚えています。

でも気がついたら次の日の朝。頭ががんがんしています。きのう食堂で飲んでた服のままで横になっています。   寮の先輩へ